IoTで工場の「困った」を解決|遠隔監視・自動通知・温湿度管理の導入事例

iot factory monitoring | 株式会社アイ・エス・プライム

「工場の設備が突然止まってしまった」「夜間の温度異常に朝まで気づけなかった」──製造業の現場では、こうした”困った”が日常的に発生しています。特に中小企業の工場では、人手不足もあり、すべての設備を常時見守ることは現実的ではありません。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが工場IoTです。遠隔監視・自動通知・温湿度管理の自動化により、製造業の現場課題を効率的に解決できます。本記事では、工場IoT導入の基本から繊維工場での具体的な導入事例、費用感、補助金の活用について中小企業向けにわかりやすくご紹介します。

目次

工場でIoTが注目されている理由

製造業では、人手不足・高齢化・品質管理の厳格化が進む中、従来の「人による目視管理・手記録」では対応しきれない場面が増えています。センサーや通信技術の低価格化が進み、中小企業でも導入しやすくなったことで、工場IoTへの注目が高まっています。

製造業IoTの主なメリットは、現場の状態をリアルタイムで把握できることです。人が工場にいなくても、スマートフォンやPCから設備状況を確認でき、異常が発生した際にはLINEやメールで自動通知が届きます。予知保全・品質管理・省力化を同時に実現できる点が、中小製造業からも注目される理由です。

工場でよくある課題

設備異常に気づくのが遅れる

設備の異常に気づくのが「止まってから」というケースは少なくありません。突発的な故障は生産ラインの停止を招き、納期遅延や損失につながります。設備稼働監視IoTを活用すれば、異常の予兆をデータとして早期に検知し、計画的な保全が可能になります。

夜間・休日の状況がわからない

夜間や休日に工場を無人で稼働させている企業も多くあります。しかし、その間に温度異常や設備トラブルが起きても、翌朝まで誰も気づかないことがあります。工場遠隔監視の仕組みを導入することで、夜間・休日でも異常を自動通知で即時把握できます。

温湿度管理や点検記録に手間がかかる

食品加工や繊維・精密機器の製造現場では、温湿度管理が品質に直結します。手書きの記録用紙に定時巡回で記入する方法では、記録漏れやタイムラグが生じます。IoTによる工場温度監視・温湿度管理の自動化により、連続データの取得と自動記録が実現します。

紙やExcelの記録が活用されていない

点検記録や作業日報を紙やExcelで管理している現場では、データが蓄積されていても活用されないことがよくあります。IoTでデータをクラウドに自動蓄積することで、傾向分析や改善活動への活用が現実的になります。

IoTでできること

温度・湿度の自動記録

温湿度センサーを設置することで、工場内の温度・湿度を一定間隔で自動計測・記録できます。手動の定時記録が不要になり、担当者の負担を大幅に削減できます。データはクラウドに蓄積され、後から傾向を確認することも可能です。

設備の稼働状況の見える化

電流センサーや振動センサー、稼働信号の取得により、設備がいつ動いていていつ止まっているかをリアルタイムで把握できます。稼働率の集計や停止原因の分析も自動化でき、製造業のDX推進に役立ちます。

異常値の自動通知

あらかじめ設定した閾値を超えた場合に、LINE通知・メール・Slackなどで担当者に即時通知します。設備異常通知の仕組みを導入することで、問題が発生しても迅速に対応でき、被害の拡大を防ぐことができます。

データの蓄積と改善活動への活用

センサーで取得したデータはクラウドに継続的に蓄積されます。蓄積データを活用することで、故障が起きやすい時間帯・環境条件の特定、品質トラブルの原因分析、予知保全IoTへの発展が可能になります。

IoTによる遠隔監視・自動通知の仕組み

工場のIoT遠隔監視システムは、大きく以下の流れで構成されています。

ステップ内容
①センサーで計測温度・湿度・振動・電流・稼働状態などを各種センサーで自動計測
②通信でデータ送信Wi-Fi・LTE・LPWAなどの通信手段でクラウドへデータを送信
③クラウドで蓄積・分析収集したデータをクラウドに蓄積し、管理画面でグラフ表示・傾向分析
④異常時に自動通知設定した閾値を超えた場合、LINE・メール・Slackなどで担当者へ即時通知

この仕組みにより、工場にいなくてもスマートフォンやPCからリアルタイムで状況を確認でき、設備異常の通知が届いたらすぐに対応を取ることができます。

導入事例|繊維工場でのクリンプ編み機 監視・リモート制御

項目内容
企業名株式会社千吉良様
業種繊維
課題機器停止の把握困難・稼働時間の正確な把握・無人時のリモート起動
導入内容ESP32・フォトカプラ・リレーモジュール・Laravelウェブシステム・ダッシュボード・Slack通知
効果停止状態のリモート通知・稼働時間とCO2排出量の可視化・工場無人時でもリモート起動・停止が可能に

導入前の課題

株式会社千吉良様では、工場内に設置された複数台のクリンプ編み機の管理に課題を抱えていました。

  1. 機器の停止状態が把握できず、現場にいないとわからない
  2. 大まかな稼働時間しか把握できず、正確なデータがない
  3. 工場が無人の状態でも機器を起動したいが、手段がない

特に夜間や休日など無人時に編み機が停止した場合、翌朝まで誰も気づけないという問題がありました。また、稼働時間の把握が大まかなため、CO2排出量の算出や設備管理にも支障が出ていました。

導入した仕組み

フォトカプラで編み機の交流電圧を読み取り、稼働・停止状態を検知する仕組みを構築しました。検知データはESP32からAPIを介してクラウドに送信し、LaravelとMySQLで構築したウェブシステムに蓄積。12台のクリンプ編み機の状況をダッシュボードで一覧確認できるようにしました。

編み機が停止するとSlack APIで担当者のスマートフォンへ即時通知が届きます。後日、リレーモジュールを追加して編み機のリモート起動・停止も実現。工場が無人の状態でもスマートフォンから機器を操作できるようになりました。

導入後の効果

機器の停止状態がリアルタイムでスマートフォンに通知されるようになり、現場にいなくても即時に状況を把握できるようになりました。ダッシュボードで12台の稼働時間・CO2排出量をリアルタイムに確認でき、環境データの管理精度も大幅に向上しました。

リモート起動・停止機能により、工場が無人でも機器を稼働させることが可能になりました。

導入事例の詳細を見る(株式会社千吉良様) →

工場IoT導入でよくある失敗

IoTは、センサーやシステムを導入すれば自動的に成果が出るものではありません。導入前の整理が不十分だと、現場で使われない仕組みになってしまうことがあります。

よくある失敗としては、以下のようなものがあります。

  • 何を測定するかが曖昧なまま導入してしまう
  • 通知が多すぎて、現場が確認しなくなる
  • 工場内の通信環境を確認せずにセンサーを設置してしまう
  • データは取れているが、改善活動につながっていない
  • 現場担当者が使いにくい画面になっている
  • 導入後の運用担当者が決まっていない

IoT導入で重要なのは、最初から大きなシステムを作ることではなく、「どの課題を解決したいのか」を明確にすることです。まずは温湿度管理や設備の稼働監視など、効果が見えやすい範囲から小さく始めることをおすすめします。

中小企業の工場では「小さく始めるIoT導入」がおすすめです

IoTというと、大規模な設備投資や専門的なシステムをイメージされる方も多いかもしれません。しかし、中小企業の工場では、最初から大きな仕組みを作る必要はありません。

まずは、現場で困っていることを1つに絞り、小さく始めることが重要です。たとえば、以下のような始め方があります。

  • 温湿度の自動記録から始める
  • 重要な設備1台だけ稼働状況を見える化する
  • 異常時だけLINEやメールで通知する
  • 紙の点検表の一部だけをデジタル化する
  • まずは1か月分のデータを蓄積して傾向を確認する

小さく始めることで、費用を抑えながら効果を確認できます。現場の負担も少なく、改善点を見つけながら段階的に広げていくことができます。IoT後付けセンサーを活用すれば、既存設備を大きく改造せずに導入できるケースも多くあります。

IoT導入までの流れ

工場のIoT導入は、現場の課題整理から始めることが大切です。当社では、いきなり機器やシステムを決めるのではなく、まずは現場で何に困っているのかを確認します。

1. 現状ヒアリング

まず、現在の管理方法や困っている作業を確認します。たとえば、温湿度を紙で記録している、設備停止に気づくのが遅れる、夜間の状況がわからない、といった課題を整理します。

2. 計測対象の整理

次に、何を測定するかを決めます。温度、湿度、振動、電流、稼働状態、扉の開閉など、目的に応じて必要なデータを整理します。

3. 通信環境・設置場所の確認

センサーを設置する場所に電源があるか、Wi-Fiが届くか、LTE通信が必要かなどを確認します。工場内では電波が届きにくい場所もあるため、事前確認が重要です。

4. システム構成・費用のご提案

計測内容や通知方法に応じて、センサー、通信機器、クラウド、管理画面、通知機能などの構成を検討します。導入内容によって費用や構成は変わりますので、現場に合わせた最適な提案を行います。

5. 試験導入・運用開始

まずは一部の設備やエリアで試験導入し、通知条件や画面の見やすさを調整します。現場で使いやすい形に整えてから、本格運用へ進めます。

IoT導入費用の目安

IoT導入の費用は、目的や構成によって大きく異なります。以下はあくまで参考値です。

  • 小規模な温湿度監視(センサー数台+クラウド):初期費用 30万〜80万円程度
  • 設備稼働監視+通知システム:初期費用 80万〜200万円程度
  • 月額のクラウド・通信費用:数千円〜数万円程度

まずは必要最小限の構成で始め、効果を確認しながら拡張していく方法がおすすめです。

IoT導入費用が変わる主な要因

IoT導入の費用は、センサーの種類や設置台数だけでなく、通信方法や管理画面の有無によっても変わります。

要因内容
センサーの種類温湿度、振動、電流、電力、稼働状態など、用途によって必要な機器が異なる
設置台数監視する設備や場所の数によって機器数・設定作業量が変動
通信方式Wi-Fi、LTE、有線LAN、LPWAなど、工場環境に応じた通信方法の選択が必要
管理画面グラフ表示、帳票出力、異常履歴確認など、機能範囲によって開発規模が変わる
通知方法メール、LINE、Slack、SMSなど、対応する通知先の数や種類によって変動

導入内容によって費用や構成は変わります。まずは必要最小限の構成で始め、効果を確認しながら拡張していく方法がおすすめです。

補助金を活用できる場合もあります

IoT導入では、内容によって補助金を活用できる可能性があります。たとえば、デジタル化・AI導入補助金やものづくり補助金など、設備投資やITツール導入を支援する制度が対象になる場合があります。

ただし、補助金は年度や公募回によって対象経費、補助率、申請要件、スケジュールが変わります。また、すべてのIoT機器やシステム開発が対象になるとは限りません。

そのため、補助金の活用を検討する場合は、最新の公募要領を確認したうえで、必要に応じて商工会議所、認定支援機関、補助金に詳しい専門家などへ相談することをおすすめします。

当社では、IoT導入内容の整理や、システム構成・見積内容の説明など、技術面での情報整理をサポートしています。なお、補助金申請書類や事業計画書の作成代行は行っておりません。

よくある質問

Q:小規模な工場でもIoTを導入できますか?
A:はい、可能です。最初から大規模なシステムを作る必要はありません。まずは温湿度管理や設備1台の稼働監視など、効果が見えやすい範囲から始めることをおすすめしています。

Q:古い設備でもIoT化できますか?
A:設備の種類によりますが、IoT後付けセンサーを使うことで対応できる場合があります。電流センサーや振動センサー、温湿度センサーなどを使い、設備本体を大きく改造せずに状態を把握できるケースがあります。まず現場を確認した上でご提案します。

Q:工場内にWi-Fiがない場合でも導入できますか?
A:Wi-Fi以外にも、LTE、有線LAN、LPWAなどの通信方法を検討できます。設置場所や通信環境によって適した方法が変わるため、事前確認が重要です。電源環境が難しい場所には電池駆動のセンサーも選択肢にあります。

Q:LINEやメールで異常通知できますか?
A:はい、可能です。温度や湿度、設備停止など、あらかじめ設定した条件を超えた場合に、LINE通知・メール・Slackなどへ自動通知する仕組みを構築できます。

Q:どのようなデータを取得できますか?
A:温度、湿度、振動、電流、電力、稼働・停止状態、扉の開閉、水位など、現場の課題に応じてさまざまなデータを取得できます。

Q:導入後の保守や設定変更もできますか?
A:はい、通知条件の調整、管理画面の改善、センサー追加、クラウド環境の確認など、運用後の改善にも対応できます。

Q:補助金の活用について相談できますか?
A:はい、IoT導入にあたって補助金を活用できる可能性があるか、初期段階での確認や情報整理は対応しています。

ただし、ものづくり補助金などの申請書類作成や事業計画書の作成代行は行っておりません。補助金の申請を進める場合は、制度の最新情報を確認したうえで、必要に応じて認定支援機関・商工会議所・補助金に詳しい専門家などへご相談いただく形をおすすめしています。

当社では、IoT導入内容の整理、見積内容の確認、システム構成の説明資料作成など、技術面での情報整理を中心にサポートしています。

工場のIoT導入・遠隔監視システムのご相談はこちら

「設備の状態を見える化したい」
「温湿度管理を自動化したい」
「異常時にLINEやメールで通知したい」
「まずは小さくIoTを試してみたい」

このようなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

当社では、現場の課題整理から、センサー選定、システム構成、管理画面、通知機能の設計まで対応しています。まずは現在の管理方法や困っている作業をお聞きし、無理のない導入方法をご提案します。

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まとめ

工場の「困った」を放置していると、生産性の低下やコスト増大、品質トラブルにつながりかねません。IoTによる遠隔監視・自動通知・温湿度管理の自動化は、こうした課題を根本から解決する有効な手段です。

中小企業の工場でも、最初から大規模なシステムは必要ありません。まずは現場で困っていることを1つ解決するところから始め、現場で運用できる仕組みにすることが重要です。IoT後付けセンサーを活用することで、既存設備を大きく改造せずに導入できる場合も多くあります。

「まずは何ができるか知りたい」「自社の工場に合うか相談したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。現場の状況をお聞きした上で、最適な工場IoTソリューションをご提案いたします。

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この記事を書いた人

石原 則和のアバター 石原 則和 代表取締役

株式会社アイ・エス・プライム 代表取締役。群馬県桐生市を拠点に、中小企業の業務改善・システム開発・Web制作・ウェブ解析・IoT・DX支援を手がける。コンサルティングを軸に、お客様の業務を深く理解したうえで最適なソリューションを提案するスタイルで、製造業・小売業・サービス業など多様な業種の課題解決に携わる。ウェブ解析士マスター・提案型ウェブアナリスト・デジタル庁 デジタル推進委員。

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