「DXを推進したいのに、IT人材がまったく採れない」——群馬県内の中小企業の経営者から、こうした悩みをよくお聞きします。業務のデジタル化や自動化を進めようにも、それを担う人材の確保が追いつかない。地方の中小企業にとって、IT・DX人材の採用は頭の痛い課題のひとつです。本記事では、群馬県における採用市場の現状を踏まえながら、限られたリソースでIT人材を確保するための5つの戦略を具体的に解説します。
群馬県のIT人材採用の現状
群馬県は製造業を中心とした産業構造を持ち、DXへの需要は高まっています。一方でIT・DX系の人材供給は都市部と比べて限られており、採用競争は年々厳しくなっています。
特に課題となっているのが「都市部との競争」と「理工系学生の流出」です。群馬大学や高崎経済大学など県内に大学・高専はありますが、情報工学系の卒業生の多くは東京・横浜の大手IT企業や給与水準の高い企業へ流れてしまいます。中小企業が給与面で対抗するのは容易ではなく、「待遇では勝てない」という声も少なくありません。
また、求人を出しても「ITエンジニア」「DX推進担当」といった職種は応募自体が少なく、せっかく採用できても1〜2年で離職するケースも見られます。こうした現状を踏まえると、「求人票を出してひたすら待つ」という従来の採用スタイルは通用しにくくなっています。
業務内容を具体的に記載し、成長機会と働き方をアピール
ハローワーク/Indeed/Wantedly/Greenを使い分ける
必要な時だけ都市部の人材にリモートで依頼する
人材開発支援助成金やオンライン学習サービスを活用
地元の大学・高専と連携し早期接点をつくる
採用戦略①「求人票の書き方を変える」
IT人材が求人票を見るとき、「この会社で何をするのか」「どんな技術を使うのか」「自分のキャリアにどうつながるのか」を真っ先に確認します。「ITエンジニア募集」「DX推進担当」と書くだけでは、応募者の興味を引くことは難しいです。
まず、業務内容を具体的に記載しましょう。「既存の受注管理システムをクラウド移行するプロジェクトをリードしていただきます」「社内の在庫管理をExcelからSaaSツールに切り替えるDX推進を担います」のように、何を・どんな規模で・どんなツールを使ってやるのかを明示します。「その他IT業務全般」といった曖昧な表現は避けてください。
次に、成長機会と働き方をアピールします。「入社後に使ってほしい技術スタック(例:Python、AWS、kintone)を明記する」「リモートワーク・フレックス制度の有無」「資格取得支援・学習費用補助」など、都市部大手には負けても中小企業ならではの柔軟な働き方や個人が活躍できる環境をしっかり伝えましょう。「少人数なので裁量が大きく、最初からプロジェクトをリードできます」という点は、特にキャリアを積みたいエンジニアに響きます。
採用戦略②「媒体の選び方」
採用媒体はそれぞれ特性が異なります。ターゲット人材に合わせた使い分けが重要です。
ハローワークは無料で使えるため中小企業の利用率が高いですが、ITエンジニアの求職者はほとんど利用しません。事務・製造系の採用に向いており、IT職種には過度な期待は禁物です。
Indeedは国内最大級の求人検索エンジンで、IT職種の求職者も多く利用します。無料掲載から始められ、有料の「スポンサー求人」にすると表示順位が上がります。費用対効果が高めで、まず試してみる価値があります。
Wantedlyはミッション・ビジョン・文化を重視するIT・スタートアップ系人材に人気のプラットフォームです。給与を前面に出さず「やりがい・社会的意義・チームの雰囲気」で求職者に訴求できます。地方中小企業でも「面白いことをやっている会社」として認知されると、県外からの応募も期待できます。
GreenはIT・Web系に特化した転職サイトで、中途採用のエンジニアを探す場合に向いています。掲載費用は比較的高めですが、ターゲット層の質が高い傾向があります。まとまった採用予算がある場合の選択肢です。
無料で使えるが、ITエンジニアの求職者はほとんど利用しない
国内最大級の求人検索エンジン。IT職種の求職者も多く費用対効果が高め
やりがい・社会的意義・雰囲気で訴求。県外からの応募も期待できる
IT・Web系に特化した転職サイト。掲載費用は高めだが質が高い
採用戦略③「副業・フリーランス活用」
「採用しなくてもIT力を補完できる」という発想の転換が有効なケースがあります。正社員採用にこだわらず、副業・フリーランスの活用を検討してみましょう。
たとえば、「月10〜20時間の副業として、kintoneのカスタマイズをお願いできる人を探す」という形であれば、都市部在住の優秀なエンジニアにリモートで依頼することが可能です。CrowdWorks(クラウドワークス)・Lancers(ランサーズ)・Coconala(ココナラ)といったクラウドソーシングサービス、あるいはIT特化の副業マッチングサービス(Workship、FLEXY など)を利用すると、必要なスキルを持つ人材と比較的スムーズに出会えます。
副業・フリーランスの活用には「必要な時だけ費用が発生する」「採用・育成コストが不要」というメリットがあります。一方で「機密情報の管理」「業務の継続性」には注意が必要です。契約書でNDA(秘密保持契約)を締結し、業務の引き継ぎドキュメントを整備する習慣をつけることが重要です。
採用戦略④「社内育成」
外部からITエンジニアを採用するのが難しい場合、既存社員のスキルアップを図る「社内育成」も現実的な選択肢です。業務を熟知した社員がITスキルを身につければ、外部採用者よりもスムーズにDXを推進できるケースもあります。
活用できる支援制度として、厚生労働省の「人材開発支援助成金」があります。社員に対してIT・DX関連のeラーニングや研修を受けさせた場合、費用の一部が助成されます(2026年5月現在)。具体的な受講料補助率や上限額は制度改定により変わることがあるため、群馬労働局またはハローワークで最新情報を確認してください。
学習コンテンツとしては、Udemy Business(法人向けプラン)やSchooなどのオンライン学習サービスが活用しやすいです。「Pythonを使った業務自動化」「kintoneアプリ開発」「Excelマクロ(VBA)入門」といったコースで、業務に直結するスキルを効率的に習得できます。月額費用が数万円程度で複数名が受け放題になるプランもあり、費用対効果は高めです。
採用戦略⑤「インターンシップ・新卒採用」
長期的なIT人材確保には、インターンシップや新卒採用を通じた「早期接点づくり」が有効です。群馬高専(群馬工業高等専門学校)や群馬大学理工学部、前橋工科大学などの情報・電気系学科と積極的に連携することを検討してみましょう。
インターンシップは「会社のファンを作る」という観点で効果的です。「3か月のインターンで実際のシステム開発プロジェクトに参加できる」「卒業後は正社員として即戦力になれる環境がある」という体験を提供できれば、大手と給与で競わずとも採用につながる可能性があります。
また、地域の学校や商工会議所が主催するIT系のイベント・勉強会に企業として参加・協賛することも、学生や若手エンジニアへの認知度向上につながります。「群馬でIT・DXを面白くやっている会社」というブランドを少しずつ築いていくことが、長期的な採用力の底上げになります。
AIを活用するとさらに効率化できること
採用活動そのものにもAIツールを活用することで、限られたリソースで採用の質と効率を高めることができます。
- AIによる求人票の最適化: ChatGPTやClaudeに「エンジニアが応募したくなる求人票にリライトしてほしい」と依頼すると、業務内容・訴求ポイント・文体の改善案を短時間で得られます。複数のバリエーションを生成して比較することで、反応率の高い求人票を効率よく作成できます。
- AIによる書類選考の効率化: 応募者が多い場合、AIツールを使った書類選考の補助が有効です。職務経歴書をテキストで読み込ませ、「求める要件との適合度を5段階で評価してください」と指示することで、担当者が全件目を通す前の一次スクリーニングをサポートできます。ただし、最終判断は必ず人間が行うことが重要です。
- 採用面接の質問設計: 「ITエンジニアの中途採用面接で、実務スキルと問題解決能力を確認するための質問を10個作ってください」のようにAIに依頼することで、面接の準備時間を大幅に短縮できます。面接官ごとに質問がバラつくという課題も解消しやすくなります。
まとめ
群馬県でIT・DX人材を採用・確保するには、「待ちの採用」から「攻めの採用」へと発想を切り替えることが重要です。求人票の質を上げ、媒体を使い分け、副業・フリーランスや社内育成も組み合わせることで、正社員採用だけに頼らないIT力の確保が現実的になります。
株式会社アイ・エス・プライムでは、DX推進に向けた体制づくりや、システム開発・IT導入のご支援を承っています。「IT人材がいなくてDXが進まない」という段階からご相談いただけます。





